2012年11月12日月曜日

Xperia VL SOL21購入レポート 1 ~au 4G LTEの実力は? 実測レポート~


11月2日、KDDIではXperia acro HD IS12S以来のXperiaシリーズとなる Xperia VL SOL21が発売された。
以前からブログを見ていただいている方はご存じだと思うが、KDDIからXperiaが発売される度に購入して来たため、主に旧モデルとの比較をしていく。
第一回目は、2日からサービスインとなったau 4G LTE 800MHz、1.5GHz帯のスピード、エリアについて検証する。


au 4G LTEはiPhone 5の発売によって開始された。
現在の評判はそれなりに良いようだが、それでもiPhone 5固有の問題(○問題という1Xデータ通信しかできない事象)や、LTEが思ったほど掴まないと言われている。
これは、iPhone 5が国内において2GHz帯でしかLTEを掴むことが出来ず、3G時代と同様に800MHz帯を中心とし、1.5GHz帯を都心部の高トラフィック対策(混雑対策)としてエリア構築を考えていたKDDIは急ピッチでのLTE 2GHz基地局対応を進めなくてはならなくなった。
それに加え、元々2GHz帯は電波の直進性が強く反射しにくい為、出力を強くしてもビルの谷間、山などで遮られてしまい、800MHz帯に比べて携帯電話が電波を掴みにくい事がある。
逆に言えば、800MHz帯を掴むことが出来る携帯電話は2GHz帯が電波を掴みにくい場所でも、同じ場所から800MHz帯の電波が送出されていれば、電波を掴むことが出来るわけだ。
そして、KDDIの元々の予定である800MHz、1.5GHz帯基地局の展開と、それに対応する端末群が、2日に発売されたau 4G LTE対応Androidスマートフォンと言うことになる。
実は800MHz、1.5GHz帯を掴む利点はもう一つある。
KDDIの2GHz帯は5MHz×2幅しかないのに対し、800MHz、1.5GHz帯では10MHz×2幅を掴むことが出来るのだ。
何を言っているのか分からない人もいると思うが、簡単に説明すると、データ通信のデータを車に例えると、2GHz帯が5台しか車が通ることが出来ないのに対して、800MHz帯では10台も通ることが出来るようになる。
実際にはここまで単純ではないものの、2GHz帯で最大37.5Mbps、800MHz帯で最大75Mbpsの通信が可能となり、速度の面ではiPhone 5よりも、秋のAndroidスマートフォンの方が有利になるのだ。
筆者はiPhone 5を所有していないため、KDDI同士の比較は出来ないが、800MHz、1.5GHz帯のエリア、スピードについて解説していく。

まずはエリアについて。
私は京浜急行の沿線に住んでいる。
具体的な駅名は避けるが、上大岡から南~横浜、相鉄線に乗り換え海老名まで、海老名から小田急線という形で通学を行っている。
トンネル以外ではほぼLTEエリアであった。
トンネル通過後のLTEハンドオーバー(電波の境界線の引き継ぎ)が失敗することが3回に1回ほどあり、LTEエリアと確認済みの場所であっても、3G表示されることがあった。
確実にLTEを掴むことがなかったのは能見台駅周辺で、前後数百mに渡り、必ず3Gにフォールダウンしていた。

発売日から約10日、何度か大学へ通ったほか、都内へも足を運んだため、複数の電車ルートのエリアについて触れる。

1.京浜急行沿線の4G LTEエリア
京急には上大岡以南~横浜は複数のトンネルが存在する。
これらのトンネルのうち、日ノ出町横のトンネル、上大岡横のトンネルについてはやや長い。
800MHzで対策が取られていない、あるいは1.5GHz帯での付近のエリア展開のためかこれらのトンネルでは3G電波しか掴むことはなかった。
もっとも、日ノ出町横のトンネルに関しては、電波環境がすこぶる悪く、他キャリアでも横浜からのトンネル抜け出し後にしばし電波を見失い、KDDIに関しても旧来のネットワークでは1Xしか掴むことが出来ず、電波のバミューダトライアングルと化している。
そんな中で、電波に注視していたこの1週間、幾度もこの地帯を通過したが、トンネル内では電波を掴むことは出来ないものの、トンネルを通過し日ノ出町駅に差し掛かかるとすぐさまLTEに接続することがあった。
LTEはWi-Fiを見失うときの再接続時間も早く、LTE電波の探索、再接続時間が非常に短いことも影響していると思われる。

2.相鉄沿線の4G LTEエリア
続いては相鉄線。
相鉄線については海老名までの間、トンネルが大和駅(地下駅)前後しかなく、99%障害物のない路線だ。
ここでもLTEはトンネル間を除きLTEを掴み続けた。
ただ、京急の解説でも述べたようにトンネルを通過する場合は、通過後に3Gのまま引っ張ってしまう事象が見受けられた。
二俣川以西に関しては人口過密地域から抜けるため、他キャリアではLTEを掴まない場合が多かったが、KDDIは掴み続けた。
もちろん周波数展開の格差が影響している部分が大きく、他キャリアを責められるものではないが、LTEをどこでも使いたいのであればKDDIというイメージは沸いてもおかしくない。

3.小田急沿線の4G LTEエリア
小田急沿線は筆者の通学区間に関してはトンネルが全くない。
その為100%LTEエリアだ。
もちろんKDDIのホームページを見ると
今まで紹介した各沿線含めてLTEエリアとして塗り潰されているのだが、実際に電波表示を見続けているとその印象も更に増す。
筆者はKDDI以外の回線を契約しておらず(WiMAX除く)、ブロガーイベントなどで貸し出された際にドコモ、イーモバイルのLTEエリアを経験しているだけにとどまるが、同じ短期間の体験でもこれほどまでに違うのかという印象が強い。

4.その他路線沿線
筆者が普段あまり利用していない路線で、この1週間で移動に利用した路線がある。
東急東横線、東海道線の二路線だ。
東急東横線は3度、東海道線は1度の利用で、その他に山手線、京浜東北線を利用しているが、都内の移動の大動脈であり、各社エリア内であることが殆どのため割愛する。
東急東横線に関しては品質が過去最低レベルであった。
というのも、地下駅が多く存在する東急東横線においては通常の基地局から電波が届きづらく、ほぼ必ず3Gにフォールダウンしてしまった。
その為、冒頭で触れたLTE圏内においてもLTEに復帰しない事象が多くあり、半分以上が3G接続のケースもあった。
繰り返しになるが、3G接続になっている=LTEエリアではないということではなく、別の日に通過したときにはLTEに接続したケースもあったため、エリアマップ通りのLTE展開だと思われる。
逆に東海道線はほぼLTEしか掴まなかった。
これは同路線がトンネルを通過しないことが大きいと思われる。
なお、唯一LTEから3Gにフォールダウンしたのは川崎駅であり、即座にLTEに復帰した。
恐らくハンドオーバーの失敗ではないだろうか?

5.通信品質について
品質に関しては、サービスインということもあり、最大75Mbpsのスペック値に対し、基地局に近い場合は下り40~50Mbps、離れている、もしくはビルの谷間の場合は下り30~10Mbpsの場合が多く、平均でも10Mbpsは優に超えている印象だ。(基地局との距離は推測です。)
電車移動中における通信品質はまちまちだが、概ね10Mbpsは出ると考えていいだろう。
速度が一桁に落ちることはそれほど多くなかった。
LTEエリア内において、3Gのように4~5本の電波強度になることは少なく、1~3本アンテナであることが多かった。
アンテナ数が少ないと通信、通話品質が良くないのではないかというイメージが湧くが、通信品質は前述の通りであり、通話品質に関してはLTEではなく、どこでも電波環境の良い3G回線を利用しているため、問題はない。
上り速度は最大25Mbpsに対して、最速15Mbps、平均5、6Mbpsといったところだろう。これは同じLTEながら登りの帯域を絞って上りの速度が伸びないドコモに対してアドバンテージがあるといえる。







6.総括・満足度は高いが、その一方で…
LTEの電波が飛んでいるエリア、速度は共に申し分なかった。
同じKDDIでもiPhoneは、先にも述べたように利用周波数帯やバンド幅の特性上他キャリアと大差のないエリア、通信速度環境のため、純粋に「LTEを堪能したい」という怪しい考えの持ち主であれば、実質的にKDDIのAndroid端末を選ぶほかないと思う。
AndroidでもXperia VLに限った話かもしれないが、iPhoneに見られる「○問題」の1X接続は全く見られなくなった。3G電波をロストした際に1Xでは繋がなくなった可能性がある。
重ね重ねになるが、通信品質はサービスインして間がないため、恐らく数ヶ月の短いスパンで50Mbpsは当然のこととして、30Mbpsすら出なくなる可能性がある。利用者が増え、負荷がかかってもどの程度持ちこたえるか見守りたい。

また、現在でもいくつか不満を持った事象があった。
文中で何度か触れたが、とにかくハンドオーバーの失敗が多く、データリンクを確立できずに通信が出来ないことがそれなりの頻度であった。
電車の移動中は特に頻繁におき、一日の通勤、通学で数回はデータ通信途中に途切れることは覚悟した方がいいかもしれない。
これはLTE間のハンドオーバーの失敗や、LTE/3G接続中に3G/LTEへの接続連携が出来ないと言われていることも影響していると考えられる。
これは、他キャリアでも報告のある事例であり、端末側にも問題があるといえそうだ。

他キャリアとの比較でKDDIが優位に立っているのは当然のことである。
800MHz帯をメインに据え、広範囲にエリア展開をし、なおかつバンド幅が10MHzで最大75Mbps。
今一番速度が速いと言われているソフトバンクのAXGP(TD-LTE互換)、イーモバイルのLTEなどと遜色ない速度ではKDDI以外を選ぶ理由がない。
だからこそ、速度に期待して人が集まってからの回線品質をどれほど保っていくことが出来るのか?
そこが一番重要なのではないだろうか?
最後に一つ忠告を。
「速度が速い」と周りにどや顔をするためにSpeedTestを繰り返して行うと、このキャプチャのように大量の通信を行い、簡単に速度制限がかかる目安である7GBに引っかかってしまう。
お気をつけを。


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